サンパウロ編 Scene 3-1
私と善さんは、バルバートゥスを求め、霧の山脈をひた走っていた。
私のいるサンパウロ市から、西にある海岸山脈地帯を抜けるルートである。
現在、バルバートゥスの産地は、内陸にそそぎ込む支流域では発見されていない。
彼らの生息する河川は、その海岸山脈で区切られた、しかも、独立して大西洋にそそぎ込んでいる河川に生息している。
今まで攻略してきた河川は、例えば、Rio、ティエテ等に合流する小さな河川に限られていたが、それらの河川に、彼らの姿は確認できなかった。(これは、私の調べてきた河川にいえることであり、リオデジャネイロなどに生息するバルバートゥスにも当てはまるのかは、確認していない)
霧の山脈には、大西洋岸にあるいくつもの町と行き来をするためのルートが確立されており快適なドライブであった。
頂上をすぎるあたりから、私の好きな植物が顔を見せ出す。チランジアの中間なのだが、日本では、エアープラントといった方が通りがよい。それらの植物が、目に止まる木、全てに、ところかまわず自生しているのである。
ちょっと休憩を入れながら、それらを観察することにした。
もう、すごいって物じゃない。立ち枯れている大木全てに覆い被さって自生している。アナナスも美しい花を咲かせている。勉強不足で、それらが、なんという種なのか判別できないのが悔やみどころだった。
頂上から吹き出るように流れ出す、美しい滝を見ながら、さらに海岸を目指して、車の旅は続いた。
海岸近くまで降りてくると、景色は一変する。比較的、背の低い木立が並ぶ、平坦な道を、今越えてきた海岸山脈地帯を横に見ての道路をひた走りに走る。やがて大きな河川を通りかかった。
ちょっと車を止めてもらう。今まで攻めてきた河川と全く違った雰囲気だ。
周りには、ヒルギの仲間の低木がその気根を泥の中に何本も突き刺している。ちょっと見は、沖縄の河川そのものだ。河原に降り立ってみると、シオマネキの仲間が一斉に住処に身を隠す。ちょっと水の味を確認してみると少しだけ塩辛い。ここは汽水域なのだ。
善さんにここの魚層を確認してもらうと、ホバーロ、(鑑賞魚界では、サウスアメリカンパーチ)イシモチ、カレイ、ふぐ、あじ、などの仲間が採集できるそうだ。近くを魚の一群が泳いでいるので、早速投網を持ち出し、投げてみた。入ってきたのは、ボラ、南米淡水カレイだった。(かわいそうなので、それらの魚は、リリースした。)
さて、本命を探すため、車での移動・・・程なく、小さな河川に出くわした。先ほどの河川とは違い、今まで採集してきた河川のような小さな川だ。流れもあり、大きな葉の、ルドウィジアの一種が川辺に自生している。走っているときは感じなかったが、比較的内陸に来たようで、ここは、いっさい塩の影響が伺えない。
ちょっと川の様子を見てくると良いですよ。善さんが言った。
早速取る物もなしに川に近づいてみた。
川は、非常にきれいだった。多少茶色く色づいているのは、ブラックウォーターだからだろう。いつも見かけるガンブシアも確認できる・・・と思ったそのとき、そのガンブシアの下を、小さなコリドラスが数匹横切った!!
善さ〜〜ん!!いるいる!!ちっちゃいのが!!これバルバ!?
善さんも降りてきて、あ、いるね。これ、バルバですね。あ、あそこにもいますよ、という先を見ると、大きな雌と、一回り小さな雄が2匹、川上に頭を向けて、砂に頭をつっこんで餌を探している姿が目に入った!!
雄は、本当に金色に光っていた。それが、今にも手が届きそうなところに泳いでいる!!
ああっっ!!あそこにも!!!さあ!!早速、採集だ!!!